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2005-10-20

そして本番

いよいよ本番の日がやってきた。

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小耳奮戦記 宮下ムソー

最終回「神秘」

神秘的3ヶ月間が終わった。あまりにも出来過ぎな3ヶ月だった。
メンバーが揃ったとき、まだ脚本は完成していなかった。
当初の構想では、メインテーマ「集団自殺」、タイトルは「プラスティックピープル~黒のマリア~」だった。
しかし、脚本書きは難航した。下松勝人の苦闘が始まった。大耳男子校長に黒のマリアが憑依するのには時間がかかった。
突然、スクールキラーAがやってきた。実はこの脚本は「ポゼッション~神の戸惑い~」の続編であることが判明した。
そして、「実はもうひとつタイトルの候補がある」と告げられた。
「あなたはねむくなれ」という呪文を告げられたときの感電したような感覚を今でもはっきり覚えている。

脚本は、次第に「黒のマリア」から離れ、「スクールキラーA」に擦り寄っていくように思われた。
その頃、私は兄の暴力に反撃して殴り殺した弟の事件に興味を持ちつつ、ニーチェを読んでいた。
一方、NICOの「デザートショア」を聞きながら、必ず最後には「黒のマリア」がやってくるはずだと、イメージを膨らませていた。
行き詰っていた脚本が、急に仁子を中心に動き始めた。すると、女性の参加者が不気味なほど一度に集った。
小耳はまったく別の集団になった。ちょっと前までドリアン兄弟の集まりだったのだが。
そして、脚本家の中についに黒のマリアが現れた。生々しく紙に書き付けられた鉛筆のあと。叫び。それまで書き溜められた多重世界のすべてが、台詞ひとつで一瞬で跳ね返されていた。
興奮すると同時に、この芝居はちゃんと完成するのか、不安になった。
あの長台詞を、男子校状態の小耳の中で体得できたか?
女性スタッフに囲まれたからこそ、女優が身を投げ出せたのではないかと思っている。 一緒に泣いてくれる人がいたからこそ、深淵に踏み出せたのだと思っている。
いつ自殺するかわからないくらい傷つきやすい人の目の前で「わたし死にたいんです」という脚本を扱う。
参加者の真摯さが問われる瞬間が多々あった。
皆で食卓の上の死体を頂いた。演出家は祭祀長であった。

演出家に死が忍び寄っていた。

お別れだと思って出演した。
何人かでひっそり泣いた。
大宰府に、死にかけの演出家とその妻がやってきて、楽器を奏で、舞った。
ビデオが撮れてなかった。演出家の妻は、「最後の共演と思って踊ったのにな」とつぶやいた。
その後、川で倒れて記憶を失った。「私なんでここにいるの?」
あれは何だった?あれは何だったんだろう?
その日の舞は、1枚の写真に納まった。
自分が、端にでも写っている写真の中で、最も美しい写真です。

作中で復活の儀式を執り行っているうちに、演出家は復活した。
常識外の検査結果に医者も首をかしげた。
言葉にならない不思議な日々。

映像は本番前日まで届かなかった。
しかし投影してみるといい出来だった。
深夜に交通事故に遭ったけどまったくの無傷だった。
参加したすべての人間に、ここに来る必然性があった。
終演後、変化した自分に皆気づいているだろう。
神秘的3ヶ月間が終わった。

名島の墓地裏の家に巫女と祭祀長が住んでいる。

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